紫外線との共生をめざして

新陳代謝がいい身体づくりが一番の紫外線対策

新陳代謝がいい身体づくりが一番の紫外線対策

日焼け止めを利用して紫外線対策をする理由は「焼けたくない」というものに尽きるでしょう。ですから「焼けない日焼け止め」は、紫外線対策を試みる消費者にとって人気の日焼け止めということになります。

しかし、それにしても、「なぜ日焼けを避けたい」のでしょう。「なぜ焼けたくない」のでしょう。

何をいまさら当たり前のことを言い出すのか、と感じられるかも知れませんが、私は改めてこの地点から日焼け止めというものを考えてみたいと思っています。

どうして焼けたくないのか。なぜ日焼けを避けるために日焼け止めを使うのか。これに対する答えは様々なものが考えられますが、想定しうるそれらの答えをすべてまとめると「肌のダメージを防ぎ、老化をとどめるため」という大きな答えが導かれることになるはずです。

紫外線によって想定される肌のダメージ

肌がダメージを受けると、肌にはシミやシワ、たるみ、くすみなどの諸症状があらわれ、それらの諸症状が顔の上に現れると「老けた」印象になります。また、肌が受けるダメージが蓄積すると、皮膚がんが引き起こされる可能性もあるとまで言われています。

これらの肌が受けるダメージの多くは、紫外線による日焼けによって与えられると考えられていて、日焼けを重ねると、シミやシワ、たるみ、くすみといった諸症状に加えて最悪の場合は皮膚がんにもなりかねないと、そのように喧伝されているわけですね。

なるほど、そうなりますと、確かに「肌のダメージを防ぎ、老化をとどめるため」には、極力「日焼け」を回避しなければならないように思われてきますし、そのためには「焼けない日焼け止め」がどうしても必要になってくるでしょう。

しかし、ここで私が疑問に思うのは、はたして「肌にダメージを与える」のは「紫外線」だけなのか、ということです。

もちろん、「紫外線」は肌にまったく刺激がなく、一切のダメージを与えることがない、などと私が主張したいのではありません。「紫外線」が肌の上に何かしらのダメージを与えることはまず間違いなく、これに関しては疑いを差し挟む余地もないといっていいと思います。

紫外線だけが肌にダメージを与えるわけではない

シミやシワ、たるみ、くすみ、あるいは、皮膚がんなどの原因となる「肌のダメージ」「紫外線」だけに限定し、「焼けない」ことだけに神経質になって、「紫外線以外」「肌のダメージ」の可能性を考慮しないでなおざりにするというのは、どうにも手落ちであるように感じられます。

シミやシワ、たるみ、くすみなどの症状のすべての原因は「紫外線」だけなのでしょうか。皮膚がんの場合、確かに主要な原因は「紫外線」とされていますが、もし皮膚がんになった場合、それは「紫外線」以外の様々な原因が複合的に絡み合った結果なのではないでしょうか。

「紫外線」以外に「肌にダメージ」を与えるものはたくさんあります。ストレス、睡眠不足、乾燥、食生活の乱れ、化粧、洗顔、喫煙、飲酒、遺伝、ホルモンバランスの乱れなどは、紫外線に負けず劣らずの「肌のダメージ」の原因です。

「焼けない」ということだけに躍起になって、これらの「紫外線以外」「肌のダメージ」の原因には眼を向けず、肌の荒れ、乱れ、老化、皮膚がんなどの原因をすべて「紫外線」に押し付けるというのは考えものです。

日焼け止めも肌のダメージに加担している

何より、「紫外線」以外の「肌のダメージ」の原因として主要なものの一つに「日焼け止め」があるということを忘れてはならないでしょう。

「焼けない」ということを気にしすぎて日焼け止めを塗りつづけることによって肌が受けることになるダメージは、紫外線のかわりに有害物質が肌の奥へと浸透していることを考えると、ともすると、それは紫外線によって受けるダメージの比ではないかもしれません。

日焼け止めには「ケミカル」「ノンケミカル」と呼ばれるタイプのものがあり、「ケミカル」と呼ばれる日焼け止めには紫外線吸収剤、「ノンケミカル」と呼ばれる日焼け止めには紫外線散乱剤というものが使われています。また、「ケミカル」「ノンケミカル」関係なく、双方の日焼け止めには、多くの場合、防腐剤、香料、界面活性剤、その他添加物などが成分として含まれています。

有害物質を肌に塗りたくるということ

有害物質を肌に塗りたくるということ

「ケミカル」の日焼け止めに使用されている紫外線吸収剤には、オキシベンゾンやメトキシケイヒ酸エチルヘキシルといった成分が使われており、これらの成分は人体に悪影響を与える環境ホルモンが含まれていることが懸念されています。

紫外線吸収剤不使用であるだけでまったくノンケミカルではない「ノンケミカル」の日焼け止めに使用されている紫外線散乱剤は、酸化チタン、ナノ粒子の酸化亜鉛、ナノ粒子の酸化セリウムなどが使われていますが、これらの成分は、なんと、発がん性物質であるという指摘がなされています。

日焼け止めを使用すれば、確かに紫外線は防ぐことができて「焼けない」のかもしれません。ですが、それは、紫外線を避け、表面的に「焼けない」かわりに、身体の内部にとって有害な物質を丹念に皮膚へと練り込んでいくということでもあります。

焼けたくないという気持ちが生み出す本末転倒な状況

「焼けない」ために日焼け止めを使っているのは、日焼けによる肌のダメージを防ぐためであったはずです。ですが、「焼けない」ために肌に塗る日焼け止めが、「焼けない」かわりに、別種の肌へのダメージを与えているとしたら、これは、本末転倒な話ということにならないでしょうか。

「焼けない」ために日焼け止めを使う人たちは、口々に「紫外線による皮膚がんのリスク」をはやしたてます。もちろん、「紫外線による皮膚がんのリスク」は恐ろしいもので、皮膚がんの患者の症状から紫外線との関連が見出されている以上、それが否定できないことであることは確かです。

しかし、「紫外線による皮膚がんのリスク」と同様に「発がん性物質が含められている日焼け止め使用のリスク」も恐ろしいものなのではないでしょうか。それは、皮膚がんだけが防がれれば充分であり、身体の内部に起こりうる他のがんははじめから眼中にないということなのでしょうか。

がんになりやすい抵抗力の弱った身体づくり

太陽光を浴びることによって体内ではビタミンDが生成されます。このビタミンDは、がん罹患リスクを低下させるビタミンであるといわれています。適度な量の紫外線は、身体にとって必要なものです。

「焼けない」ということだけを気にして、日焼け止めを塗って一切の紫外線を拒否する生活を続けますと、体内のビタミンD濃度が低くなります。ビタミンDが欠乏すると、身体の抵抗力が弱り、骨粗鬆症になったり、がんに罹患する確率が高くなると言われています。

ということは、日焼け止めを使用するということは、紫外線を防いで「焼けない」かわりに、がんになりやすい身体を作っているということになるのではないのでしょうか。

肌のターンオーバーの乱れを整えることの重要性

紫外線を浴びても地獄、日焼け止めを塗っても地獄、じゃあどうすることもできないじゃないか、という声が聞こえてきそうですが、違います。紫外線を浴びず、日焼け止めも極力使わないという抜け道、日焼け止めを使用しない紫外線対策はあるからです。

紫外線対策は、まずは「新陳代謝のいい身体づくり」からはじめて、そのうえで、健康な身体に「日焼け止めを極力使用しない紫外線対策」を施せばかなりの部分をまかなうことができます。

より確実に「肌のダメージによる老化」を防ぎたいのであれば、日焼け止めを使用して紫外線対策をするよりも先に、「肌のターンオーバー」の乱れを整えたほうがよいでしょう。

逆に言うと、「肌のターンオーバー」が乱れている限りは、どれだけ日焼け止めを使って紫外線対策をしたところであまり意味がありません。むしろ、不健康な身体の上に日焼け止めを塗った場合、毛穴がつまって代謝が悪くなり、紫外線ではない側面での肌のダメージが蓄積して肌が老化する可能性のほうが高いといえます。

肌のダメージの諸原因から解放される身体づくり

新陳代謝をあげて「肌のターンオーバー」の乱れを整えれば、日焼けをしたとしても、メラニン色素が身体の垢となって排出され剥がれ落ちるので、シミが残る確率がかなり低くなります。

多少の紫外線を浴びたとしても、生成されたメラニン色素が自分の内側から外側へと排出されていく「新陳代謝のいい身体」を作るという行為は、「紫外線とともに生きる」ことを念頭においた紫外線対策として最も有効であり、「焼けない」ことを念頭においた紫外線対策以上に「肌のダメージを守る」ものであると私は考えています。

「新陳代謝のいい身体」を作り「肌のターンオーバー」が乱れていない状態に自分を整えていくためには、充分な睡眠、ストレスが少ないリラックスした精神、適切な肌の保湿、そして、正しい食生活などが必要となります。

「肌のダメージと老化」につながる「紫外線」以外の原因が、ストレス、睡眠不足、乾燥、食生活の乱れ、化粧、洗顔、喫煙、飲酒、遺伝、ホルモンバランスの乱れなどであったことを思い出してみてください。

これらの諸原因を眺めていますと、「肌のターンオーバー」の乱れを整えて「新陳代謝のいい身体」を作るという紫外線対策の過程のなかで、これらの「紫外線以外の諸原因」たちもその一つ一つが除去されている、ということにおのずと気づかれるはずです。

日焼け止めが化粧品であるということは忘れてはならない

ちなみに、「日焼け止めの使用」は、肌のダメージの「紫外線以外の諸原因」における「化粧、洗顔」に該当します。日焼け止めが医薬品などではなくて「化粧品」であるということはあまり忘れてはいけないことであると思います。

「肌のターンオーバー」が乱れている不健康な身体に日焼け止めを使用する場合、「紫外線以外の諸原因」に満ちた身体の上に「化粧、洗顔」という二つの「肌のダメージ」を与えているだけということになります。これはさしずめ、紫外線以外の肌のダメージ全部のせ、といったところでしょうか。

また、過度に意識された紫外線対策、紫外線嫌悪は、「ストレス」に繋がります。何度も日焼け止めを塗り直し、日焼け止めの効果に不安をいだき、塗り心地にかすかな不快感を感じながら、少しでも日差しに触れてはならないと気を張っている生活は、よほど図太い神経を持っている人間以外にとっては、たえずストレスが強いられる生活であるといわざるをえません。

「新陳代謝のいい身体」を作り「肌のターンオーバー」の乱れを整えて、紫外線を完全に拒否するのではなく、紫外線とそこそこうまく付き合っていく「共生」の道を探っていくようにすると、「紫外線対策」によって気づかないうちに抱え込んでいたストレスから解放されます。

身体を整えたあとは紫外線や老いを受け入れていく

身体を整えたあとは紫外線や老いを受け入れていく

「日焼け止めを塗ったらハイ解決」というようなインスタントなものではない、時間をかけて日々のなかでコツコツと地道に取り組んでいく「新陳代謝のいい身体づくり」は、地味であり継続が難しいものではありますが、そのぶん、一見解決しているようでその場しのぎでしかないインスタントな紫外線対策と比べて、骨太で根本的、かつ耐久性が強い紫外線対策であるといえます。

「新陳代謝のいい身体」を獲得したら、一日に十五分程度の日差しを浴びてビタミンDを生成させることは忘れず、それ以外は日陰に移動したり、日傘をさしたり帽子をかぶる程度の対策をするだけでも、充分な紫外線対策になります。

もちろん、「新陳代謝のいい身体」にも限界はあります。加齢にともなって、シミやシワ、たるみやくすみのような肌の上の諸症状は、人が生きている以上、必ず出てくるものです。それは当たり前のことです。

私は、このような加齢にともなう肌の老化に対しては必要以上に抗うのではなくて、「老い」を素直に受け入れて生きていくほうがよいと考えています。

日焼け止めの使用による肌の老化対策に代表されるアンチエイジングが極端に流行している昨今だからこそ、仏陀による「生老病死」という考えがあらためて見つめ直されるといいのではないかと私は考えています。