紫外線との共生をめざして

美容に興味が薄い敏感肌の人は日焼け止めを使う必要がない

美容に興味が薄い敏感肌の人は日焼け止めを使う必要がない

人気の日焼け止めを使っていれば敏感肌の人でも肌荒れは絶対にない、というような情報を無責任に書くわけにはいきません。

いくら人気の日焼け止めであろうとも、その日焼け止めが使用者の肌に合わない場合、その日焼け止めは人気などとは関係なく相性が悪い使用者の肌の上に何かしらのダメージを与えるのですし、人気という観点からはあまり取り沙汰されることがない日焼け止めと身体の相性が思いのほかよいということはよくあることだからです。
そもそも、日焼け止めというものに関しては、それを「人気」という基準で選択することに、あまり意味はないと思います。

たとえば、人に広く評価されている「人気」のミュージシャンの作品などを聞き「良し悪し」ではなくて「人気があるかどうか」という基準だけを採用し、世間の潮流に乗って「人気」を支えていくのが好き、というタイプの人がいます。

しかし、日焼け止めという商品は、こういうタイプの人が「人気」の音楽を選び、「人気」を根拠にして評価をあたえるようにしては選ぶことも評価することもできないものです。

音楽の例えで続けますと、私の場合は「世間では『人気』となっているけれども、いくら『人気』であろうともどうしても身体が受け入れてくれない。耳に飛び込んできて数秒も経たないうちに全身にサブイボが立ち、嫌悪感に支配され、拒否反応が一気にかけめぐる。『人気』かどうかはその作品を自分が良いと思うかどうかの基準にはなりえない」というような音楽鑑賞体験をすることが多いのですが、日焼け止めの使用というのは、どちらかというと、これに近い体験をもたらすものであると思います。

敏感肌の人に日焼け止めをオススメする無責任さ

日焼け止めは、それを利用した人の身体の上に、何かしらの、おもわぬ「拒否反応」を引き起こす可能性があるものです。

「敏感肌の人にオススメの人気の日焼け止めはこれだ!」というような「決定版」として提出されるような情報も、まったく役に立たないなどといってはさすがに言い過ぎになるのかもしれませんが、人気の日焼け止めが、それを利用した人の身体に合わないという事例は、そう少ないことではありません。私自身、「人気の日焼け止め」を使ってしまい、肌荒れを起こした経験が過去に何度かあります。

日焼け止めというものが「実際に使ってみないとわからない」ものであり、個々人の体質などに左右される以上、日焼け止めのオススメはきわめて難しい、というよりも、ほとんど不可能でさえあるといえるでしょう。

むしろ、特に「敏感肌」の人であれば、「日焼け止めはこれを使っておけばまず間違いない」というような断定するような情報を見かけたら、少しばかり警戒してそれを疑い、該当の人気の日焼け止めをしっかりと検証をするくらいの距離を保つくらいの態度がちょうどいいかもしれません。

「敏感肌の人にオススメの人気の日焼け止め」の情報を提示することは難しいのですが、「敏感肌の人はなるべく日焼け止め全般に手を出さないほうがよい。日焼け止めそれ自体がそもそもオススメできない」と言い切ってしまうことは、人気の日焼け止めをオススメとして提示する難しさや無責任さに比べるとかなり簡単です。それに、この方が、どちらかというと「敏感肌」の人に対してやや誠実な態度であるようにも思われます。

日焼け止めはそもそも肌にとって歓迎すべきものではない

私は、日焼け止めというものは、そもそもが、「日焼け止めを塗るリスク」を全面的に引き受けることでしかその効果を充分に発揮することができないものであると考えています。

日焼け止めというものは肌に必ず何かしらのダメージを与えるもので、それは直接的な炎症などの症状を表面にあらわすこともあれば、後遺症として時間をかけて蓄積されたものがダメージとしてあらわれてくることもあります。日焼け止めのこのようなリスクを踏まえた上で、それでも日焼け止めを使えるかどうか。

人気の日焼け止めが紹介される場面において、「日焼け止めそれ自体」がそもそも「肌にとっては決して歓迎すべきものではない」ということは隠蔽される傾向にあります。声高に主張される「紫外線のリスク」に比べて、「日焼け止めのリスク」が伝えられることはあまりありません。

「日焼け止めのリスク」が提示される場合でも、「日焼け止めのリスク」「回避」できるものとして提示されます。

しかし、私は、「日焼け止めのリスク」は、「回避」できるものとしてではなく、「引き受けるもの」として提示しなければならないと考えます。

日焼け止めを使用するという選択は、「日焼け止めを使用するリスク」をよしとしてでも「紫外線」を拒否し、「シミ」「ソバカス」をおさえて「美白」を目指すという、積極的なアンチエイジングの選択です。

皮膚がんを防ぐという理由がはらむ嘘

「日焼け止めを使用する理由」として「紫外線を浴びることによる皮膚がんを未然に防ぐ」というような理由をあげる人がいますが、これは「美白を獲得するための積極的なアンチエイジング」という立場に自覚的ではない発言か、あるいは、「日焼け止めのリスク」をはじめから度外視したすりかえの発言でしかないと私は考えます。

というのも、「日焼け止めを塗る」という行為には、「紫外線を浴びる」というのとは違った方面から、「発がん」の可能性が含まれているからです。それを使用することで「発がん」のリスクをおかすことになる日焼け止めは、ケミカルとノンケミカルを問いません。およそ日焼け止め全般が「発がん」のリスクを抱えています。

ケミカルの日焼け止めの場合、紫外線吸収剤に含まれるパラアミノ安息香酸やプソラレンといった成分が、ノンケミカルの日焼け止めの場合、紫外線散乱剤に含まれる酸化チタンや酸化亜鉛の成分のナノ粒子などに発がんの可能性が指摘されています。

もちろん、日焼け止めというのは、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤だけでできているのではなく、保存料や香料や界面活性剤やその他添加物などが使われており、それらの成分が、「発がん」だけに限定されない、皮膚や体内への様々な症状を引き起こす可能性をもっています。

日焼け止めは覚悟を持って美白を獲得したい人向きのアイテム

日焼け止めは覚悟を持って美白を獲得したい人向きのアイテム

私は、「日焼け止めを使うという選択」「リスクを引き受けること」だと書きました。それは、このようなことを知った上で、それでもなお、日焼け止めを使うということに他なりません。

問題は、多くの人が「日焼け止めを使う選択」「日焼け止めを使うリスクを引き受けること」とは考えていないこと、あるいは、そのようなことを考えさせないようにして「日焼け止めを使うリスク」という意識がないままに日焼け止めを使わせることにあるでしょう。

「敏感肌の人はなるべく日焼け止め全般に手を出さないほうがよい。日焼け止めそれ自体がそもそもオススメできない」という考えは、このような「日焼け止めを使うリスクを引き受ける」という観点から日焼け止めについて考えていくことで導き出されたものです。

「敏感肌の人にオススメの人気の日焼け止め」というような話をするまえに、敏感肌の方は、「日焼け止めのリスクを引き受ける覚悟ができていて、そのうえでなおかつ『美白』を獲得したいと考えているのかどうか」ということを自らに問う必要があるように思います。

人気商品の何気ないオススメテキストの危険

「敏感肌の人にオススメの人気の日焼け止めは、ノンケミカルの肌に優しい日焼け止めです」というような一見すると何気ない文章は、「日焼け止めを使うことのリスクを引き受ける」という姿勢がまったくないどころか、そのような「引き受けるリスク」などがはじめからないものである、あるいは、「回避」ができるものだ、というようなことを言おうとする姿勢のもとに書かれており危険です。

このような何気ない「人気商品」の文章がどのように危ないものであるか、少しずつ見ていくことにしましょう。

まず、敏感肌の人に対して、日焼け止めは基本的にオススメできません。これは、これまで書いてきた文章を参照してください。敏感肌の人に限らず、日焼け止めというのは「美容」に強い関心を持ち、「肌」へのリスクをおかしてでも「美白」を獲得したい人にのみオススメできる商品です。

もし、紫外線による「発がん」などの影響を考えて日焼け止めを使おうとするのであれば、日焼け止めではなくて「日傘」の使用や「肌を隠す服」の着用をオススメするべきです。ですから、一文目は「敏感肌の人は日焼け止めを使うよりは日傘などを使って紫外線を防ぐことをオススメします」と書き換えられたほうがよいでしょう。

人気であることを伝えるために平然とつかれる嘘

続いて、「ノンケミカルの肌に優しい日焼け止めです」というような文章。「日焼け止めを使うリスクを引き受ける」という観点がない場合、このような文章に対する警戒心を持つことができず、「決して肌に優しくなどないノンケミカルの日焼け止め」を人気の日焼け止めとして疑いなく購入してしまい、その敏感肌に深甚なダメージを与えることになるでしょう。

人気の日焼け止めについての記事を読んでいると、「ケミカルは肌に悪く、ノンケミカルは肌に優しい」というようなことをしれっと言ってのけて、「ノンケミカル」の日焼け止めを人気の日焼け止めとして提示するものが非常に多いのですが、これは間違っています。

「日焼け止めが日焼け止めである限り、当然ながらケミカルは肌に悪く、もちろん、ノンケミカルもまた肌に悪い」というのが、「敏感肌」の人に伝えるべきちゃんとした情報になります。

「紫外線吸収剤」が使用されている「ケミカル」の日焼け止めも肌に悪いということは、その「ケミカル」という言葉一つで明らかなので詳述は避けます。問題は、「ノンケミカル」です。

言葉だけを見るといかにも「肌に良さそう」「ノンケミカル」の日焼け止めは、前述したように、「紫外線散乱剤」に含まれる酸化チタンや酸化亜鉛の成分のナノ粒子などに発がんの可能性が指摘されています。その上、「紫外線吸収剤」以外の化学成分がいくら入っていても、「紫外線吸収剤不使用」であれば「ノンケミカル」と名乗ることが許されてしまう日焼け止めでもあるわけで、「ノンケミカル」などという言葉に反する、実にケミカルで「肌に優しくない日焼け止め」であるわけです。

人気の日焼け止めをオススメするテキストのありかた

人気の日焼け止めをオススメするテキストのありかた

「ノンケミカルの肌に優しい日焼け止めです」というような一文や、それを「人気の日焼け止め」として提出されることに関して、「肌が弱い」という弱みを知ったうえで「ノンケミカルの肌に優しい日焼け止め」などという嘘を平然とつかれているのですから、「敏感肌」の持ち主は怒りを感じなければならないでしょう。

「敏感肌の人にオススメの人気の日焼け止めは、ノンケミカルの肌に優しい日焼け止めです」という何気ないが危ういテキストは、敏感肌の人に向けて、次のように書き換えることができると思います。

「敏感肌の人に限らず、肌へのリスクを考えるならば日焼け止めの使用はオススメできません。肌に優しい日焼け止めというものはそもそもないものだからです。それはケミカル、ノンケミカルなどを問いません。敏感肌の人がもし紫外線対策をするのであれば、日焼け止めを使うよりは日傘などを使って紫外線を防ぐことをオススメします。」
日焼け止めにおける「オススメ」「人気商品」は、もとより「敏感肌」の人に向けられた「オススメ」でも「人気商品」でもありません。「美容」のためならば自らの肌や健康を危険に晒すことを厭わない人に向けられた「オススメ」であり「人気商品」なのです。

「日焼け止めは、日焼け止めのリスクを引き受ける覚悟を持った美容マニアにだけオススメできます。紫外線の影響と五十歩百歩の発がんなどのリスクをもおそれず、それでも『美白』を求める美容・アンチエイジングマニアにオススメの人気の日焼け止めは、これです!」

「人気の日焼け止めをオススメする文章」は、おそらくは、このような文章以外には考えられません。そうでない文章は疑ってみる必要があります。私はそのように考えております。